何書こうかしら?

語りかけ育児について

「まだ言語を獲得していない乳幼児にも積極的に語りかけましょう」

母子手帳にも書いてあるし、出産時に助産師にも指導されたような気がする。

 

でも私は意識しての「語りかけ」はしてこなかった。

前述したように読み聞かせはすごく積極的に行ってきたが、語りかけは意識してしよう!なんて感じではしてこなかった。

 

一緒に綺麗な景色を見たら「きれいだね」とか、美味しいものを食べたら「美味しいね」ぐらいは言うけど、無理に言うことを探してこどもにしゃべりまくるようなことはしなかった。

 

育児書には語りかけることが言語の発達に不可欠だと書いてある。

でもそれを見て「語りかけしなきゃ!語りかけ、語りかけ…」なんて呪縛のように思い込んだ母親が多いような気がする。

 

先日も保育園の玄関でそんな母親を見つけた。

一歳ぐらいの男の子を抱えて、3歳ぐらいの男の子に靴を履かそうとしている。

「○○ちゃん、靴を履きなさい」「□□ちゃん、お兄ちゃんが靴を履くの見ててね」と始まった。

ここまではいいだろう。

お兄ちゃんに指示して、そのできた様子を弟に見せる。

すごく良い取り組みだ。

 

そこで黙って、お兄ちゃんが靴を履くのを弟と見ながら待てばよかった。

でも母親は続けてしゃべる。

 

「ほら、○○ちゃんの靴、かっこいいね」

「あ、□□ちゃんも靴履いてくれば良かったね」

「いつも今日みたいに自分で靴履いてくれるといいんだけど…」

「あー重い。早く履いてー」

「遠足の時もそんなに遅いと置いていかれるよ」………… 

まだその母親はしゃべり続けてたけど、私は玄関を後にした。

私の娘が靴を履き終えたので。

 

私の娘もマイペースで玄関ですごく時間がかかるので、よくしゃべるこの母親を少しの間観察することができた。

 

こういう語りかけはこどもにとって有害とまでは言えないにしても、かなり悪影響だと思う。

 

この親子で説明すると、この母親ではこどもが自分自身で何かを感じる時間が無い。

こどもはせっかく靴を履くことに集中してたのに、次には靴そのもの、次には弟の靴、次は靴を早く履くこと、次は遠足……と次から次へと視点を変えないといけない。

これでは集中力が高いこの時期のこどもの能力の発揮を、母親が邪魔しているようにさえ思う。

 

語りかけは大切なんだろうけど、語りかけの内容や時期、時間までは誰も教えてくれない。

 

ちょうど今読んでる本に、次のように書いてあった。

友田明美著『子どもの脳を傷つける親たち』から

~同じものを一緒に見ること(共同注意)が大事なのです~

 

母親が沈黙を恐れるがの如く何でもかんでもこどもに語りかけるのではなく、こどもと同じ目線で何かを感じたとき、またはその時にこどもが何かを感じているとわかった時に語りかけるのが本当の「語りかけ」と言えるだろう。

 

因みに私は語りかけはあまりしなかったが、娘は話すのが小さい頃から上手だし、語彙も多い方だと思う。

息子も2歳になったばかりだが、しゃべるしゃべる。

シャワーのように言葉を浴びせなくても、こどもの言語力は伸びていく。

 

こどもには、いつでも何でも語りかければいいわけではなく、適切な時に適切な言葉をかけていかなければならない。

とても難しいけれど、大切なことだと思う。